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「生誕150年 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ」
国立新美術館
※~9/7まで開催中!
本当に久しぶりに美術館に行き、そして記事を書くことになりました。(嬉しい)
■会場の様子
とある平日の開館直後に行きました。開館直後ですが、そこそこ混雑してました。
特に、ジュエリーのところは後ろから垣間見る感じです。
それでも早い時間のせいか、ものすごくストレスを感じるほどではなく、ちょっと上手く流れをつかめば見られないわけではない程度の入場者でありがたかったです。
そして、ジュエリー以外のインテリアなどの展示になると、なぜかぐっと人がまばらになるという(^^;)みんな一体どこ行っちゃったの?!
まあ、見やすくていいけども。
この手の展覧会は物欲丸出しにしたおばちゃんたちが群がる、というのを嫌というほど経験してるので見るなら会館直後か、夜間が正解かと思われます。
休憩室には用語の解説パネルがあったのですが、もうちょっと展示会場にも解説があると親切かな?と思いました。
だってさ、「ドッグカラー」見てる皆さんが口々に
「まあ~人間よりも犬の方がこんな豪華な首輪つけてるのねえ」
「貴族ってすごいわねえ」
と誤解しまくりの会話をアチコチでしまくっているんですもの。
もう聞いてらんない@吉野家、みたいな気持ちになりつつ
「あの、それはね、犬用じゃなくて人間用なので安心してください。」と
教えてあげたくなりました。
平たく言うと、ドッグカラー「ドッグカラー=チョーカーっぽい首に巻きつけるデザインの首飾り」なんですが・・・。
学芸員の人は、多分「豪華な宝石とか使ってる時点で気づくだろう」と思ったんでしょうが、ところがどっこい、みんなヨーロッパ貴族のゴージャスな暮らしに幻惑されてこの様ですよ。
一言、横に「女性用のアクセサリーうんぬん」と書いてあればこんなことには・・・!
ほかにも、テーブルウェアでも「ナイフレスト」などがなにかよくわからない方もいたようなので、
平均的日本人の家庭に存在しないモノについては、老若男女にとって理解するための解説が必要なのではないかと思いました。
図録買え、ということかもしれませんが、やっぱり謎のまま見るのもアレだし、トンチンカンなことを聞かされる人間もたまらんので、よろしくお願いします。
疑問を胸にしまっておいてくれるならいいんですが、皆さん結構声高に色々話すので辛いの。
あと、「見りゃわかるよ!」っていう「作品名」を一々読み上げずにいられない派もいるので、こう、
「ちょっと、一度言葉を飲み込んではくれないものか」とか思わずにいられません(^^;)
でもまあいつもに比べればそれほどストレスなく鑑賞できて幸いでした。
ぶつかる人もいたけど、この手の展覧会にしては少なめだったかも。
(これが昼過ぎると、我慢できないレベルになるんだろうなと予測)
ほかにもアレコレ横文字でわりと放置プレイな雰囲気があったので、もっと親切にしてほしいと思いました。
特に、香水瓶の展示、作品と作品名のディスプレイが離れていて、どれがどれだかちょっとわかりにくくて不親切かなと。
一方、花瓶などのインテリアは、動物や、神話、などテーマごとにまとまって展示してあってよかったと思いました。
全体的には、時代ごとの作品の変遷がよくわかるようになっていて、今回初めて見る作品も多く含まれていたので、系統だててラリック作品を理解することができました。
あと、宝飾品のデザインを
「んま~繊細ね~」
と感心する気持ちを大声で表明しながら人にがんがんぶつかってくる大雑把な皆さんは、その繊細さをちょっくら見習ってみるといいと思うヨ☆
■展示作品感想
今回重くて図録購入しませんでした。そして、メモもしてないので、手元の作品リストを頼りに記憶をざっとたどってみます。<ちょっと前なので薄れかけてます。
■初期の宝飾品関連
1.ツバメのオーナメント
「五羽のツバメの飛翔」、躍動感のある飛んでいるツバメがダイヤとルビーで表現されています。コサージュオーナメントということで、これをセットでドレスなどにあしらったのでしょうか。
アシンメトリーなのでシンプルな感じのドレスを背景にして目立たせるのかなとか、つけたところを想像しました。
2.ケシのモティーフとアリス
華やかですがなんとなくどぎついというか、毒々しいイメージのあるケシの花は、なんとなくヨーロッパ人にとっての東洋のエキゾチシズムとかぶる気がします。
それを証明するかのように、ジャポニズムの影響を感じさせる作品が多いです。
ケシ以外にも、リンゴの花(桜に似てますよね)など動植物のモティーフは、蒔絵風だったり日本風なアレンジを加えた物が多いです。
公式ページの解説より
「ラリックの世界の中心には、常に魅惑的な女性の姿があります。
30歳の頃、工房の協力者である彫刻家オーギュスト・ルドリュの娘アリス・ルドリュと出会ったラリックは、すでに妻子がありながら激しい恋に落ち、苦悩の末にアリスと結ばれます。
アリスという美神を得たラリックは、「かつて見たことのない宝飾品」の創作を目指し、文字通り寝食を忘れて制作に没頭しました。
本展では、アリスをモデルにしたと思われるブローチ《ケシに囲まれた女性の胸像》が出品されます。
また、卓越した技法を駆使し、1897年のサロンで国家買い上げとなったハット・ピン《ケシ》、それとは対照的に、妻に捧げる私的な作品として作られた銀製のバックル《ケシ》が、ラリックの工房を出て以来初めて同時に展示されます。
アリスの肖像写真やふたりの間で交わされた恋文など、貴重な資料も併せて紹介します。」
ケシはアリスの象徴でしょうか。
アリスはちょっと背徳の香りがする吸引力の強い魅惑的な花というのにふさわしく、美しい女性です。
ケシのバックルと妻の関係については知ってたのですが、不倫の末ということは今回改めて知りました。
バックルの本物、大きくて存在感ありました。
ポスターにもなっている「ハット・ピン」、すばらしいです。
写真で見るよりも透明感がある感じ。
3.ティアラ「雄鶏の頭」
博覧会に出展。
出展時、鶏が銜えていたのはアメジストではなくてトパーズだか琥珀だかの金色系の石だったと解説にありました。
赤紫のアメジストに変えたことでより、コントラストの効いた作品になってますね。
七宝のとさかのグリーンと金の鶏に映えてすごく美しいです。
でも、このティアラ実際につけたらものすごいインパクトだろうな・・・。
だって、にょーん、って雄鶏が頭から突き出してるんですもの。その迫力に負けない顔立ちの女性しかつけられないでしょうね(^^;)
4.花のモティーフ
すずらん、とかパンジーとかかわいらしいものが好きです。
途中、シンメトリーでアールデコのきっぱりした斬新なものも多かったのですが、個人的にはロマンチックなアールヌーヴォーの頃のデザインの方が欲しい!と思うものが多かったですね。
枯れたアネモネとか、どうよ?という感じのものもありましたが、これはジャポニズムに学ぶ枯葉や虫食い、昆虫など「ありのままの自然」という従来はあまり美しいと思われないモティーフに美を見出す、ということなのかと理解しましたが、どうでしょうか。
5.ドッグ・カラー
さっきも書きましたが、女性用です。
近代までは、貴族階級の女性は東西とわず、首も手首も本当に細いです。
アンティークの時計などと、今売っているブランド時計のサイズの差を見るとわかりやすいですよね。
首が細く、そして長くなければ似合わないチョーカー型の飾り。
娼婦のチョーカーはリボンが主流ですが、お貴族様は宝飾品をずっしりと嵌めこんだゴージャス版。重そうです。
6.グルベンキアンのコレクション
公式ページより抜粋
「イスタンブール出身の実業家で国際的にも知られる美術品コレクターであったカルースト・グルベンキアンほど、ラリックに深い影響を与えた人物はいないでしょう。
石油採掘事業で巨万の富を築いたグルベンキアンは1899年頃にロンドンでラリックと出会い、ふたりは深い友情で結ばれました。
ラリックは、優れた審美眼の持ち主であったグルベンキアンとの会話に触発され、あるいは彼が所蔵する古今東西の優れた考古史料や美術品に霊感を受けて、グルベンキアンがいなかったらできなかったであろう数々の傑作を生み出しました。
本展では、カルースト・グルベンキアン美術館(リスボン)の全面的な協力を得て、代表作ティアラ《雄鶏の頭》をはじめ、コサージュ・オーナント《騎馬試合》、シール・ベルデュの花瓶《ネズミと葉の茂み》など、国内初出品を含む、総数34点を展観します。 」
東洋的モティーフは彼の影響が大きかったのですね。
「天使」のシリーズのデザインは好きです。向かい合った横向きの天使の長く伸びた羽がいい。
■ガラス作品
シレーヌ<(これも「シレーヌってナニ?」な皆さんが口々に疑問を表明。
以前は「そのくらいは知っておこうよ・・・」とか思ってましたが、最近は「面倒くさいからもう書いといてあげて!」という気分になってきていたり。知らないのはいいんですよ。私も知らないことたくさんあるし。でも騒ぐなよ、メモっといて後で自分で家で調べようよ、と思うんですよ)
が繰り返し出てくるモティーフ。
そしてスズメや鼠など、小さいものがとってもかわいらしい。
もちろん、蛇だの昆虫だのもあるんですが、小さいもの、はかない感じのものに対してラリックは愛情を感じていたのではないかなあ、と思わせる雰囲気のものが多かったです。
女性像も、もちろん万人受けを考慮してのことでしょうが、たおやか系のものが多いですし。
ゴルゴンもいたけども。
■アールデコ博覧会
噴水塔や、当時の写真の映像(ここに椅子があれば・・・!)、噴水の女神勢ぞろい(神話の女性の名前がついてました)など、雰囲気が伝わってきました。
■香水瓶
「BLOOD+」で、ディーヴァがネイサンのラリックのコレクション壊してましたよね。
なんてもったいない!
香水瓶、ストッパーの下の部分が天使になっているものがあって、瓶の中で天使が見えるデザインのものがかわいらしかった。
あの天使を耳たぶにちょちょっとつけるのを想像すると楽しいです。
現在買えるラリックの香水はこんな感じ↓






■ガラスのアクセサリー
宝飾品ではなく、ガラスでもこれだけの豊かな世界をデザインで作り出せるということは、当時のドレスなどとあわせても非常に斬新だっただろうと思わせる作品がずらり。
庭園美術館でも見たようなフォルチュニィのドレスもあったりして、嬉しい。
展示品と完全に同じものではないですが、こんな感じのスズランのものがあってかわいかったです。


■スピードの世紀
カーマスコットがたくさん。
速さを感じさせる動物として、馬・グレーハウンド、トンボなどのモティーフが多いです。
雄鶏やチャボ、カエルまであったりしてみていて楽しい。
聖クリストフォロス(幼児のキリストを背負う聖人)は、その力強さをアピールでしょうか?
鍋島家所蔵のアンティークカーが展示されていました!ナンバープレートもついています。
車がどーんと置いてあるのは迫力ありますね。
横には当時のモードとして、ジャージー素材のシャネルのデイ・スーツをまとったマネキンが。
近々記事にするつもりですが、映画「ココ・シャネル」も見たばかりなので、個人的には非常にタイムリーでした。
■室内装飾
テーブルセンターピースは、以前にも見たことのある「二人の騎士」「三羽の孔雀」。
電気置時計の「昼と夜」もおなじみですね。
■テーブルウェア
ロータス(ハス)のテーブルウェアは、下の皿が波というか水面を模した感じのデザインで、カップ等は花、というまさに水に浮かぶハスの様子を表現していて面白かったです。
各都市の名前のついたシリーズでは、トウキョウなどの日本のシリーズはなんとなく「日本=和」というイメージなのか、○を感じさせるデザインになっていました。
ラリック作品、今までにもかなり見ていますが、今回は日本初展示のものや、初めてみるものが多くて楽しかったです。
特に女性は楽しいと思える展覧会だと思いました。
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こっちのフィギュアはもうちっとお安いとはいえ、26000円・・・。


ラリックを好き勝手買えるネイサンのようになりたいデス。